今年第5回のアジア・ビズ・フォーラムでは、当会主宰の姫田が上海定点観測をベースに、景況感、今後の見通しを述べました。サービス業の比率が高い上海では、米中貿易戦争によるダメージよりも、むしろ構造転換に苦しんでいるのが鮮明でした。
代表事例が南京東路の歩行者天国です。街路には多くの人を集めているものの、名だたる百貨店や専門店にはほとんど人がいません。中国で恒例の「独身の日」は、アリババだけで1日で4兆1000億円売り上げましたが、実態店舗の膨大なロスにも目を向けるべきでしょう。参加者からは「実体店で物が売れなくなると街はどうなるのか?」、「中国の流通小売業態では日本人の百貨店出身者を引き抜いている」などのコメントもありました。
金融関係の参加者は「日本の証券会社で中国資本が大株主の会社は5社ある」と発言され、別の参加者は「テンセント、ファーウェイの本社訪問に行ってきた」と報告されました。深圳を中心に、工場を持たないファブレスネットワークが構築されているそうです。日系企業がこれに食い込めるかが課題です。中国はどうなるか――誰もがここに関心を抱いています。引き続き、研究会ではウォッチを続けます。